【書評・要約】『頭の中のひとりごとを消す方法』 自分の嫌な一面も受け入れ、1人反省会をやめる

書評・要約

過去の出来事を振り返っているつもりが、同じ考えを繰り返し、自分を責めるだけになってしまう。こうした思考のループを、本書では「反すう」と呼んでいます。

鈴木裕介さんの『頭の中のひとりごとを消す方法』は、反すうのしくみと、そこから離れるための対処法を紹介する本です。

私が特に大切だと思ったのは、自分のさまざまな性格を受け入れるという考え方でした。反すうへの対処とあわせて、自分の嫌な一面をどう捉えるかにも目を向けられる一冊です。

『頭の中のひとりごとを消す方法』はどんな本?

本書は、過去の出来事や自分への否定的な考えを繰り返し思い返し、抜け出せなくなる「反すう」を扱っています。

なぜ同じことを考え続けてしまうのかを、記憶や感情、身体の状態と結びつけて説明しています。そのうえで、反すうに気づくための問いかけや、呼吸・動作・イメージを使った対処法が紹介されています。

さらに、自分の心にある複数の側面や、答えの出ないこととの付き合い方まで扱います。考えている内容だけでなく、そのときの心身の状態や、自分自身の捉え方からも反すうを見ていく構成です。

要約|反すうに気づき、距離を取り、自分を受け入れる

1.反省と反すうを、次の行動につながるかで見分ける

本書では、反省と反すうを区別しています。反省は改善点を考えて次の行動につなげるものですが、反すうは自己否定や否定的な感情を繰り返し、問題解決から離れてしまう思考です。

長く考えているからといって、解決に近づいているとは限りません。そこで、本書の問いかけを要約すると、次のようになります。

  • 答えのある問いについて考えているか
  • 考えることで、具体的な行動につながるか
  • 自分の行動や選択で変えられることか
  • 同じ悩みを持つ友人にも、自分に向けているような言葉をかけるか

考えている内容だけでなく、考え続けることが何につながるのかを確かめます。行動に結びつかない場合には、さらに考えを掘り下げるよりも、まず感情を落ち着けることに目を向けます。

2.思考だけで解決しようとせず、身体やイメージを使う

本書では、そのときの気分や身体の状態が、思い出しやすい記憶にも関係すると説明されています。否定的な記憶が連鎖していく前に、反すうに気づき、そこから離れることが大切になります。

対処法の一つが、首をゆっくり動かし、その動きに注意を向ける方法です。ほかにも、呼吸を整える、無心でできる軽い作業に取り組むなど、身体や行動から働きかける方法が紹介されています。

気がかりなことを布で包み、箱に入れて保管する様子を思い描く「拡張版コンテナテクニック」もあります。取り出した気持ちを邪魔なものとして捨てず、自分の心の一部として丁寧に扱う点が特徴です。

こうした方法は、思考や感情を客観的に眺め、巻き込まれずに対応する「脱中心化」という考え方にもつながります。

3.心にあるさまざまな側面を、一つずつ否定しない

本書で紹介される「自我状態理論」では、人の心を複数の側面から捉えます。場面に応じて表れる考え方や振る舞いを、それぞれ役割を持つ「パート」として見る考え方です。

本書では、どのパートにも、自分を守るために生まれた理由や役割があると説明されています。嫌だと感じる側面も含めて受け入れ、状況に合ったパートが働ける状態を目指します。

また、対処法を使っても反すうから離れにくいときには、心の余裕を回復させることにも目を向けます。うまくできない自分をさらに責めるより、休むことや、すぐには答えが出ない状態を受け入れることも、本書が扱う大切なテーマです。

書評|さまざまな自分を受け入れる考え方が大切だと思った

嫌な一面も含めて、自分を受け入れる

私が特に大切だと思ったのは、自分の持つあらゆる性格を受け入れることです。自分自身を受け入れるうえで、重要な考え方だと感じました。

その理由を本書の内容に沿って考えると、嫌な一面にも役割があると捉えることで、その部分への見方を変えられるからです。好ましく思えない性格を見つけるたびに否定していては、自分の中に対立が生まれてしまいます。

私は本書の説明を、自分の中にあるものを、まず存在するものとして扱う考え方だと受け取りました。よいと思える部分だけを選んで認めるのでは、自分を受け入れることが条件付きになってしまう。その点を考えるうえで、自我状態という見方は参考になります。

一つの側面で、自分全体を決めつけない

自分の一部に好ましくないところがあることと、自分全体を否定することには違いがあります。心を複数のパートから捉える説明は、その違いを考える手がかりになります。

私は、自分のさまざまな性格を受け入れることを、どんな振る舞いもそのまま正当化することだとは捉えていません。ある側面が自分の中にあると認めたうえで、今の場面でどう行動するかは、別に考えられます。

自分の嫌なところをなくすことだけを目指すよりも、どんな役割があるのか、どう付き合えるのかを考える。私が本書から受け取った、自分を受け入れるための視点は、この部分にあります。

『頭の中のひとりごとを消す方法』はこんな人に向いている

本書の内容と、私が大切だと感じた点から、次のような人に向いていると思います。

  • 振り返りが自己否定に変わり、同じことを考え続けてしまう人
  • 反すうのしくみと、そこから離れる具体的な方法を知りたい人
  • 自分の嫌な一面も含めて、自分との付き合い方を考えたい人

なお、内容は対処法だけでなく、記憶や感情、自我状態にも広がります。すぐに使える方法を探す場合は、まず問いかけや身体を使う方法など、取り組みやすそうなものを選んで読むとよさそうです。

まとめ|自分を責め続ける以外の向き合い方を知る一冊

私にとって本書の大きな気づきは、自分のさまざまな性格を受け入れることが、自分自身を受け入れるうえで大切だということでした。

反すうへの対処も、自分の考えを力ずくで変えようとするだけではありません。考え続けることが行動につながるかを確かめ、必要に応じて身体や注意の向け先を変える方法があります。

今後試すなら、まずは考えが繰り返されているときに、具体的な行動につながるかを問い直すところから始めたいです。自分の嫌な一面も切り捨てず、考えと少し距離を取るために読み返したい一冊です。

タイトルとURLをコピーしました