※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。
相手の一言が気になって、帰宅してからも思い返してしまう。誰かの不機嫌を見て、自分が何かしたのではないかと考えてしまう。
出来事そのものが終わっても、頭の中ではやり取りが続いている。そんなとき、自分の心の動きに目を向けるきっかけになるのが、草薙龍瞬さんの『反応しない練習』です。
この記事で注目するのは感情に気づき、その後の受け止め方や行動を見直すという視点です。
本書の要点を整理したうえで、仕事や人間関係にどう取り入れられそうか、具体例を交えて紹介します。
『反応しない練習』はどんな本?
『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』は、僧侶の草薙龍瞬さんが原始仏教の考え方を日常の悩みに生かす方法を紹介した本です。
扱うテーマには自分の心の理解、良し悪しの判断、マイナスの感情、他人の評価、競争などがあります。
怒りへの対処だけでなく、日々の考え方を広く見直す内容です。目次:紀伊國屋書店
「気にしないようにしよう」と自分に言い聞かせても、気になってしまうことはあります。
そんなときに、何に反応しているのか、どのような判断を加えているのかを確かめる。私は本書を読む際に、この部分を大切にしたいと考えています。
『反応しない練習』の要約|注目したい3つの視点
ここでは本書で扱うテーマのうち、日常に結びつけやすい3つを取り上げます。
1.反応する前に、自分の状態を理解する
本書の第1章では反応する前に、まず理解するという考え方が扱われています。
日常に置き換えるなら、相手に何か言い返したくなったとき、自分の中で何が起きているのかを確かめることから始められそうです。
例えば同じ「腹が立つ」でも、その中身は違います。
- 話を最後まで聞いてもらえず、悲しかった
- 予定が変わり、間に合うか不安になった
- 努力を認めてもらえず、悔しかった
これらは説明用の例ですが、気持ちの中身によって必要な対応も変わります。
相手への評価を始める前に、自分が何を感じているかを確かめる。
そのための視点として受け止めると、日常との接点が見つかります。
2.良し悪しの判断を重ねすぎない
本書の第2章では良し悪しを判断することがテーマになっています。
例えば、仕事で一つ修正を求められたとき「ここを直す必要がある」という話から、「自分は仕事ができない」まで考えが広がることがあります。
相手に短い返事をされたときも「返事が短かった」という出来事に、「嫌われているのかもしれない」という解釈を加えることがあります。
私がここから考えたいのは、起きたことと、自分が付け加えた意味を分けてみることです。
判断が浮かんだとしてもすぐに確定させず、「そこまで分かっているだろうか」と立ち止まる余地はあります。
3.他人の評価との距離を考える
本書では他人の目から自由になることも扱われています。
仕事では相手の評価や意見を受け取ることが必要です。
ただ、そのすべてを自分の価値の評価として受け止めると、負担が大きくなります。
例えば、提案が採用されなかったとしても予算や時期、先方の方針が理由かもしれません。
この場面なら「自分は評価されていない」と結論づける前に、不採用の理由や改善できる点を確認したいところです。
相手の反応を気にする時間を、次に役立つ情報を確かめる時間へ少し移せないか。私は、そのように仕事へ結びつけて考えています。
「反応しない」は、嫌なことを我慢すること?
私が本書を取り入れるうえで大切にしたいのは、心の反応を見直すことと、必要な対応を取ることを両立させることです。
例えば、約束が守られず仕事に支障が出ているなら、状況を確認したり、改善を求めたりする必要があります。
そのとき怒りに任せて相手を責めるか、困っている事実と要望を伝えるかは、分けて考えられます。
「反応しない」を「何も言わずに引き受け続ける」という自分への命令にしてしまうと、負担を抱え込むことにもなりかねません。
仕事で取り入れるなら? 返信が来ない場面で考える
例えば、仕事の確認メールに返信がなく、イライラしている場面を考えてみます。
※以下は説明用の例であり、実際の体験談や本書からの転載ではありません。
| 整理すること | この場面での例 |
|---|---|
| 起きている事実 | 昨日送った確認メールに、まだ返信がない |
| 自分の解釈 | 後回しにされているのではないか |
| 感じていること | 予定を決められず、焦りと苛立ちがある |
| まだ分からないこと | メールを確認したか、回答に時間がかかっているか |
| 必要な対応 | いつまでに回答が必要かを伝え、状況を確認する |
「後回しにされている」と感じること自体はあっても、相手の事情までは分かっていません。
そこで「返事が遅すぎます」と送る前に、「手配の都合上、明日午前までに確認したいため、ご回答の見込みを教えていただけますか」と、必要な情報を尋ねる方法が考えられます。
この例で目指したいのは、腹が立たない自分になることだけではありません。
感情が動いたときにも、仕事を進めるための対応を選べることです。
頭の中だけでは整理しにくい場合は紙に書いてみる方法もあります。
書きながら考える練習に関心がある方は、『ゼロ秒思考』の要約とメモ書きの基本も参考にしてください。
書評|自分の反応を見直す問いを持てる一冊
私が本書の読みどころだと考えるのは悩んだときに、自分へ向ける問いを持てることです。
相手の言動について考えているつもりでも、途中から「なぜあんな人なのか」「どうして自分ばかり」と、答えを確かめにくい問いを繰り返すことがあります。
そんなときに「今、自分は何を感じているのか」「分かっている事実は何か」と問い直せれば、考える対象を変えられます。
一方で考え方を理解することと、その場で使えることには距離があると思います。
気持ちが強く動いている最中には立ち止まる余裕がないこともあるはずです。
最初から毎回うまく対応することを目標にせず、後から一つの場面を振り返る読み方もできそうです。
また、自分の受け止め方を見直しても、相手の言動や仕事の環境が変わるとは限りません。
本書から得た視点を現実の問題への対応と組み合わせて使うことが、大切だと考えています。
書く習慣と組み合わせるなら
私は現在『こうやって頭のなかを言語化する。』をきっかけにした3分ノートを続けています。
数か月取り組んで感じているのは、「なぜそう感じたのか」を以前より深く考えられるようになってきたことです。
いつでも納得できる結論が出るわけではありませんが、自分の気持ちを確かめる時間になっています。
そのため、本書を日常に取り入れるなら、出来事の最中に自分の反応へ気づき、後で気になった部分をノートで振り返る、という使い方を考えています。
これは私なりの活用案です。2冊を組み合わせた効果を確認した、という意味ではありません。
感情の理由を言葉にする練習については、『こうやって頭のなかを言語化する。』の実践レビューに詳しくまとめています。
『反応しない練習』はどんな人に向いている?
本書のテーマから考えると、次のような人には検討する価値があると思います。
- 人の一言を、後になっても何度も思い返してしまう人
- 他人の評価と、自分自身の価値を結びつけて考えやすい人
- イライラした後の受け止め方や行動を見直したい人
- 仏教の考え方を日々の生活に生かしてみたい人
一方、相手を説得する話法や、交渉の具体的な型を求めている場合は、その目的に合う本も候補になります。
どの本から読むか迷っている方は、『反応しない練習』『ゼロ秒思考』『こうやって頭のなかを言語化する。』の3冊比較記事も参考にしてください。心の反応、思考整理、気持ちの言語化という悩みに応じて、違いと選び方をまとめています。
まとめ|気持ちが動いた後の選択肢を増やしたい人へ
『反応しない練習』は、仏教の考え方を手がかりに、自分の心の反応や判断、他人の評価との向き合い方を見直す本です。
私が大切にしたいのは、自分の感情を確かめたうえで、必要な対応を選ぶという姿勢です。
嫌なことがあったとき、すぐに答えを出せなくても自分の状態や受け止め方を振り返ることはできます。そのための視点を得たい方には、読む候補になる一冊だと思います。
購入を検討している方は出版社の紹介や試し読みを確認し、今の自分が悩んでいる場面と重なる内容があるか確かめてみてください。


