【書評・要約】『頭のいい人が話す前に考えていること』 仕事で生かしたい3つの視点

書評・要約

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丁寧に説明したつもりなのに、相手の反応が薄い。
質問に答えているうちに話が長くなり、何を伝えたかったのか分からなくなる。

そんなとき、言い回しや話す順番とあわせて見直したいのが相手の話をどう理解し、何を考えてから話しているかです。

安達裕哉さんの『頭のいい人が話す前に考えていること』は、コミュニケーションにおける思考の質に焦点を当てた本です。

この記事では本書の要点と、仕事に取り入れる際に注目したい3つの視点を紹介します。

『頭のいい人が話す前に考えていること』はどんな本?

著者の安達裕哉さんは、コンサルティングの経験を持ち、ビジネスメディア「Books&Apps」などで執筆している方です。

本書は知性と信頼に関する7つの法則と、考えを深める5つの思考法という2部構成になっています。

後半で扱うのは、客観視・整理・傾聴・質問・言語化。自分が発言する場面だけでなく、相手の話を聞き、理解を深める過程まで含まれています。

私が本書の読みどころだと考えるのは、「うまく話せたか」だけで会話を振り返らなくてよくなることです。

相手の困りごとを理解できたか。必要な情報を確認できたか。相手が判断しやすい形に整理できたか。こうした点にも目を向けられます。

要約|仕事で生かしたい3つの視点

ここでは本書の「傾聴」「整理」「質問」に関する内容を中心に紹介します。具体例は仕事での使い方を考えるために作成したものです。

1.助言を急ぐ前に、相手の話を理解する

本書では相手の話を聞く際に、すぐにアドバイスするのではなく、話を整理することが扱われています。

例えば、相手から「最近、商品の売れ行きがよくない」と相談された場面を考えてみます。

すぐに「値下げしてはどうですか」と返しても、相手が実際に困っている原因に合っているとは限りません。

来店客が減ったのか、商品を見てもらえていないのか、購入を迷う人が多いのか。状況が違えば、検討することも変わります。

私ならまず「売場に来る人が減っているのか、来店しても購入につながらないのか、どちらに近いですか」と確認したいと思います。

答えを出す前に、何について答える必要があるのかをつかむ。 この視点は、商談や社内相談のどちらにも結びつきます。

2.事実と意見を分けて、伝える内容を整理する

本書の「整理」では、結論から話すことや、事実と意見を分けることが扱われています。

例えば、「この商品は人気があるので、追加した方がよいです」という説明には確認できる情報と、話し手の判断が混ざっています。

次のように分けると、相手が提案を検討しやすくなります。

区分 説明例
事実 先週納品した10個のうち、8個が売れています
見立て 現時点では、販売の出足はよいと考えています
提案 在庫切れを避けるため、追加発注を検討してはいかがでしょうか

※数字を含め、説明用の架空例です。

この場合も、1週間の販売だけで今後の売れ行きまで確定できるわけではありません。だからこそ、事実と見立てを分けて伝える意味があります。

結論を先に話す際にも、「何を判断してほしいのか」を決めておくと、説明の軸が定まりそうです。

3.仮説を持って質問し、相手の事情を確かめる

本書では、質問する前に仮説を立てることも紹介されています。

相手から「予算が厳しい」と言われても、意味はいくつか考えられます。

  • 商品の単価を下げたい
  • 発注総額を抑えたい
  • 売れ残るリスクを小さくしたい

ここで単価の話だけを進めると、相手が本当に困っている点を見落とすかもしれません。

私なら「単価を抑えることと、数量を調整して総額を抑えることでは、どちらを優先したいですか」と聞く方法を考えます。

仮説は相手を決めつけるための答えではありません。
確認する問いを具体的にするための仮の見立てとして使いたいところです。

商談で取り入れるなら|話す前に3点を整理する

ここからは、本書の内容を仕事に結びつけた私なりの活用案です。著者が指定する手順ではありません。

商談や打ち合わせの前に、次の3点を短く整理しておくと、会話の目的を確認できます。

  1. 相手は何を判断したいのか
  2. 今分かっている事実と、まだ分からないことは何か
  3. 今回の会話で何を確認・合意したいのか

例えば、新しい商品の提案なら説明したい特徴を並べるだけでなく、相手が気にしそうな価格・数量・納期なども考えておきます。

ただし、事前に考えた懸念と実際の懸念が一致するとは限りません。話を聞いて違いが分かったら、説明する内容も調整します。

準備した説明を最後まで話すことより、相手の判断に必要な情報をそろえることを目的にする。 私が本書から仕事へつなげたいのは、この姿勢です。

考えが広がって整理しにくいときは、いったん紙に出す方法もあります。『ゼロ秒思考』の要約とメモ書きの基本では、書きながら考える方法を紹介しています。

書評|話し方を振り返るときの確認項目が増える

私自身、仕事の会話を振り返る際には、「結論から話せたか」「説明が長くなっていないか」が気になります。

その振り返りに、本書の視点を重ねるなら、次のような問いも加えられます。

  • 相手が話している間、自分の返答ばかり考えていなかったか
  • 相手の言葉を、自分の解釈で決めつけていなかったか
  • 提案の根拠と、自分の意見を分けて伝えられたか

説明の順番が整っていても答えるべき問いを取り違えていれば、相手の役には立ちにくくなります。

本書は話し方の練習に加えて、話す内容をつくるまでの過程も見直したい人にとって、読む意味のある一冊だと考えます。

読む前に知っておきたいこと

知ったことを、その場で使うには練習が必要

「最後まで聞こう」「事実と意見を分けよう」と理解しても、会話の最中に毎回できるとは限りません。

最初からすべてを実践しようとするより、「次の打ち合わせでは、助言の前に一度確認する」など、一つ決めて試す読み方がよさそうです。

会話の後に、できた場面と難しかった場面を振り返れば、次に意識することも絞れます。

思考整理・言語化の本と、どう選び分ける?

この本は相手との会話を通じて、理解や信頼につながる考え方を学びたいときの候補になります。

一方、自分の考えを紙に出したい、感情の理由を言葉にしたい、人の言動への反応を見直したい、といった悩みもあるかもしれません。

そうした目的に合わせて選べるよう、『ゼロ秒思考』『反応しない練習』『こうやって頭のなかを言語化する。』の3冊比較記事もまとめています。

複数の本を同時に実践する必要はありません。
今の自分が困っている場面に近いものから、試してみるとよいと思います。

まとめ|相手が判断しやすい会話をしたい人へ

『頭のいい人が話す前に考えていること』は話す前に相手を理解し、情報を整理し、質問を通じて考えを深める視点を学べる本です。

私が仕事で意識したいのは助言を急がずに話を聞くこと、事実と意見を分けること、仮説を持って確認することの3つです。

会議や商談で「説明はしているのに、話がかみ合わない」と感じる方は、目次や試し読みで、自分の課題に重なる内容を確認してみてください。

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