映画『オデュッセイア』を観て、ギリシア神話についてもう少し知りたくなりました。
そこで読んだのが、吉田敦彦さんの『一冊でまるごとわかるギリシア神話』です。
読んで感じたのは、ギリシア神話を広く知りたい人の入口になる一冊だということ。
ただし、オデュッセウスの物語を詳しく知ることが目的なら、本書だけでは物足りないと思います。
この記事では映画をきっかけに本書を読んだ立場から、わかってよかったことと、少し大変だったことを紹介します。
どんな本? ギリシア神話を広く知るための入門書
『一冊でまるごとわかるギリシア神話』は神々や英雄の物語を通して、ギリシア神話に広く触れられる本です。
特定の人物の生涯をじっくり追うというよりも、さまざまな物語を知り、「この人物について、もっと読んでみたい」と思えるきっかけを得る本だと感じました。
ギリシア神話について簡単に知りたい人や、映画などを観て興味を持った人に向いていると思います。
『オデュッセイア』の背景を知る手がかりになった
映画をきっかけに読んだ私にとって、トロイア戦争に関する説明は気になる部分でした。
本書でトロイア戦争を扱う分量は、読んだ印象では全体の1割ほど。戦争について詳しく解説することが中心の本ではありません。
それでも、次のような疑問を整理することができました。
- なぜトロイア戦争が起きたのか、映画本編より詳しく知ることができる
- なぜアガメムノンは娘を生贄にしなければならなかったのか
映画を観たあとにこうした経緯を知ると、登場人物や出来事の背景が少しつかみやすくなります。私には、この点だけでも読んだ意味がありました。
一方で、「オデュッセウスのことをもっと詳しく知りたい」という目的には、あまり向いていません。
映画の主人公を深掘りする本としてではなく、そこからギリシア神話全体へと関心を広げる本として選ぶと、期待とのずれが少ないと思います。
物語の背景にある考え方にも触れられる
よかったのは、出来事を紹介するだけでなく、古代ギリシアの人々の考え方にも軽く触れられていることです。
神話のあらすじだけを読むのと、その背景にあるものの見方も知るのとでは、物語の理解しやすさが違うと感じました。
思想や歴史を本格的に学ぶというより、物語を読むための補助線が添えられているような印象です。まず神話を知りたい私には、この程度の説明があることがありがたかったです。
アポロンの恋愛への疑問にも答えてくれた
なかでも印象に残ったのは、アポロンの恋愛についての説明です。
「どうしてアポロンの恋愛には、悲劇が多いのだろう?」
読み進めていく中、生まれるそんな疑問にも本書が答えてくれていたのが、うれしかったところです。
さまざまな物語を紹介する入門書でありながら、読んでいて気になる「なぜ」にも触れてくれる。私にとっては、単に神々の名前や出来事を知るだけで終わらない部分でした。
登場人物と名前の多さには苦労した
一方で読むうえで大変だったのは、登場人物の多さです。
普段なじみのない名前が次々に出てくるので、覚えるのは簡単ではありませんでした。
説明そのものが理解しやすくても、人物の名前を覚えながら読み進めることには、別の難しさがあります。「入門書だから、すべてがすぐ頭に入る」というわけではなかったです。
これから読む方は、最初から全員の名前を覚えようとしなくてもよいと思います。まず気になった人物や物語を見つけて、必要に応じて読み返すくらいの付き合い方がよさそうです。
読後はオイディプスをもっと知りたくなった
映画『オデュッセイア』が入口でしたが、本書を読み終えて、オイディプスについても詳しく知りたくなりました。
一人の英雄をきっかけに手に取った本から、別の人物への興味が生まれたことは、読後の収穫です。
一冊で神話のすべてを理解できた、という感覚ではありません。それでも、「次はこの物語をもう少し読んでみたい」と思えたことに、入門書としてのよさを感じました。
まとめ|神話を知る入口としておすすめしたい一冊
『一冊でまるごとわかるギリシア神話』は、ギリシア神話を広く、まずは簡単に知りたい人におすすめしたい本です。
登場人物や名前を覚える大変さはありますが、物語だけでなく、その背景にある考え方にも触れられるため、理解の助けになりました。
オデュッセウスを詳しく知るための本ではないものの、トロイア戦争のきっかけやアガメムノンにまつわる出来事を知る手がかりにはなります。
映画からギリシア神話に興味を持ち、ほかにどんな神や英雄の物語があるのか知りたい。
そんな方にとって、次に読みたい物語を見つける一冊になると思います。


